──具体的には、どんな睡眠が理想的ですか?
個人差はありますが、理想的な睡眠時間は7~8時間。ベッドに入って10~15分以内に寝つけること、6~7時間は起きずに連続して眠れることも重要です。1時間以上寝付けなかったり、夜中に目が覚めることが続く場合、睡眠障害のサインですので何らかの原因があると考えていいでしょう。睡眠時間は足りているのに朝、スッキリ起きられない、いくら寝ても疲れが取れないときは、睡眠の量より質に問題があることが考えられます。このような場合、生活習慣の見直しなどで改善されないときは、根本に副腎疲労やその他の原因が潜んでいる場合もありますので、専門医の受診をお勧めします。
──睡眠の質をよくするために、気を付けたいことを教えてください。
できれば夜11時くらいまでにベッドに入れるのが理想です。よく言われていることですが、睡眠の2-3時間前からは、「スマホ断ち」「パソコン断ち」も重要。画面のブルーライトが目から入ると交感神経を刺激し、「メラトニン」の分泌を妨げるからです。感情を刺激するような映像も、見ないほうがいいでしょう。
また寝る直前まで食事をしていると、様々な観点から寝つきが悪くなります。消化のために胃腸に血液が集まり、身体が休まらない原因にも。また、化学調味料などに含まれるグルタミン酸は脳を刺激します。イライラや不眠が続く人は、食事の中身を見直してみてください。
──寝る前に行うと、効果的なことはありますか?
入浴時、ぬるめのお湯にゆっくり浸かってリラックスすると、血流が整い安眠につながります。夏もシャワーだけで済まさず、できるだけ湯船に浸かるようにしてください。この時、42℃以上の熱いお湯は交感神経を刺激するので逆効果。反対に、朝スッキリと体を覚醒させたい時は、出かける前の熱めのシャワーもいいですよ。
ストレッチと深呼吸も効果的です。昼間、パソコンなどのデスクワークが多い人は、猫背を解消するイメージで胸を開くようにゆっくり伸ばします。深呼吸は、人間が唯一、意識的に自律神経を整えられる方法です。鼻からゆっくり空気を吸い込み、おなかをへこましながら口から吐き出す腹式呼吸を意識してください。ストレッチと深呼吸で血流がよくなると、睡眠の質も改善します。「メラトニン」は暗い状態の方が分泌されやすいので、部屋を暗くして眠ることも忘れないでください。
上記のようなことを続けてみて、どうしても改善できない場合、他の病気が原因であることも考えられるので、睡眠専門の医師に相談されることをおすすめします。